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移住先は「夫婦の優先順位TOP5」を先に決め、同じ比較軸で点検してから“3国→1都市→1エリア”へ絞ると、後悔しにくくなります。

海外移住の国選びはワクワクします。反面、沼りやすいテーマでもあります。
情報が多すぎて決めきれない。逆に、雰囲気だけで決めて後から困る。どちらも起こりがちです。

このガイドでは、30〜60代のご夫婦が「憧れ」から「現実の計画」へ進めるように、国選びを作業手順に落とし込みます。目標はシンプル。読み終えた時点で、候補が3国まで絞れている状態をつくりましょう。

用語(表記の統一)

  • 海外移住 :海外に拠点を置いて生活すること(短期滞在は「プチ移住」)
  • 滞在資格(ビザ) :国に滞在するための資格(ここでは総称として扱います)
  • 初期費用 :渡航〜生活立ち上げまでに一度まとまってかかるお金
  • 月次生活費 :毎月かかる固定費+変動費
  • プチ移住(下見滞在) :住む前提で行う短期の生活検証

国選びで失敗する“よくあるパターン”

最初に、失敗パターンを知っておくと回避が楽になります。
「それ、やりがち…」があれば、すでに改善の第一歩です。

SNS映え・物価だけで決める

写真がきれい、海が青い、カフェが素敵。気持ちは分かります。
ただ、暮らしは「映えない時間」のほうが長い。そこで合わないと、じわじわ効いてきます。

落とし穴

  • 住むエリアは観光地と別物(治安・騒音・家賃が変わる)
  • 気候の相性(暑さ・湿度・寒暖差)が毎日に響く
  • 食が合わないと、体調と気分が落ちる

対策(今すぐできる)

  • 「好き」な国を3つ挙げたら、同時に「不安」も3つ書く
  • “観光の魅力”ではなく“日常の負担”を調べる(通院、買い物、移動)

ビザを後回しにして詰む

国が決まっても、 住めなければ始まりません
滞在資格(ビザ)は面倒だからこそ、早めに触っておくと後半がスムーズです。

よくある詰み

  • 夫婦の働き方に合うビザがない/更新が厳しい
  • 資金証明や保険要件が想定より重い
  • 配偶者の就労可否がネックになる

対策(最低ライン)

  • 候補国ごとに「取り得るビザ候補」を2つ挙げる
  • “主申請者”を仮決めし、帯同条件も確認する

※ビザ整理は、次の記事が詳しいです → 記事3

夫婦の「譲れない条件」が未整理

国選びで揉める原因の多くは、国そのものではなく価値観の優先順位です。

典型的なすれ違い

  • 片方は「冒険」、もう片方は「医療と安心」
  • 片方は「コスト」、もう片方は「日本との距離」
  • 片方は「都会」、もう片方は「自然」

対策

  • “譲れない条件”は、各自2つまでに絞る
  • それ以外は「条件付きでOK」にして余白をつくる
  • どちらかの譲れない条件は、代替案もセットで考える
    (例:日本人医師がいる都市/直行便がある国 など)

夫婦で作る「優先順位TOP5」テンプレ

ここが国選びの土台です。先にTOP5が決まると、情報収集がブレません。

まずは「健康・安全・費用・気候・日本との距離」から

30〜60代夫婦の現実に合わせるなら、ひとまずこの5つが使いやすい軸です。

TOP5候補(例)

  • 健康 :医療の質、通院のしやすさ、薬の入手、歯科
  • 安全 :治安、夜の移動、災害、交通事故リスク
  • 費用 :家賃、食費、保険、税の感覚(個別差あり)
  • 気候 :暑さ寒さ、湿度、雨季、日照
  • 距離 :直行便、時差、一時帰国のしやすさ

決め方(おすすめの型)

  1. 夫婦それぞれ、上の項目からTOP5を選ぶ(順位付き)
  2. 1位だけは「理由」を1行で書く
  3. 見比べて、差が大きい項目だけ話し合う
  4. “夫婦の共通TOP5”を完成させる

夕食後に30分だけ。

長丁場にしないほうが前向きにまとまります。
紙に書いて冷蔵庫に貼る。

地味ですが、意外と効果あります。

片方が譲れない条件の扱い方

譲れない条件があるのは普通です。

問題は扱い方にあります。

コツは3つ

  • 譲れない条件は「2つまで」
  • 代替策をセットで出す
  • 条件を“言い換える”
  • 例:「英語圏がいい」→「行政手続きのストレスを減らしたい」
  • 例:「物価が安い国」→「固定費(家賃)を抑えたい」

「月1回は日本食が手に入る」「病院が徒歩圏にある」など、現実の条件に落とせると会話が柔らかくなります。


比較軸① お金(物価・家賃・税・為替)

「安い国に住めば大丈夫」と考えがちですが、お金はもう少し立体的に見たいところ。
特に、固定費が高いと毎月じわじわ苦しくなります。

固定費(家賃)と変動費(食費)を分けて見る

まずは家計を2層に分けます。

  • 固定費 :家賃、通信、保険、交通(定期など)
  • 変動費 :食費、外食、交際、趣味、旅行

国比較で一番効きやすいのは家賃です。
同じ国でも都市・エリアで差が大きく、体感がガラッと変わります。

チェック(例)

  • 家賃は「中心地」と「住宅街」で両方見る
  • 住居タイプ(コンドミニアム/戸建て等)をそろえて比べる
  • 光熱費やネット料金も一緒に見る(後から驚きがち)

日本円収入のリスク(為替)

リモート収入、年金、日本の資産運用など、収入が日本円寄りなら為替の影響は避けられません。

考え方(シンプル)

  • 生活費は現地通貨で発生
  • 収入は日本円で入る(または一部)
    → 円安(または円高)で可処分が揺れる

対策の方向性

  • “為替が悪い月でも回る”予算で組む
  • 固定費を上げすぎない(家賃が最優先)
  • 送金・カード決済の手数料を把握しておく

※家計の具体テンプレは次の記事で深掘りします → 記事4


比較軸② 医療(アクセス・言語・費用)

30〜60代夫婦にとって、医療は「合う/合わない」がはっきり出ます。
国の医療水準だけでなく、自分たちが使いやすいかが重要です。

日本の「医療保険」と違う前提を持つ

日本の感覚(いつでも行ける、比較的安い)がそのまま通用しないことがあります。

確認したいポイント

  • 予約の取り方(アプリ/電話/紹介制など)
  • 診療までの待ち時間
  • 自費負担の感覚(保険の仕組みで変わる)
  • 英語で通じる医療機関の有無(英語圏でも差あり)

プチ移住でやると強いこと

  • 近隣のクリニックを1つ調べ、予約方法だけ確認する
  • 薬局がどこにあるか歩いて把握する

“実務”が分かると、不安が一気に減ります。

持病・歯科・薬の観点で見る

医療比較は、まずこの3点が強力です。

チェック(例)

  • 持病 :専門医にアクセスしやすいか(都市部かどうか)
  • 歯科 :定期検診が受けやすいか(費用感も)
  • :常用薬の成分が手に入るか、処方の流れはどうか

下見滞在で、スーパーの帰り道に薬局へ寄ってみる。
その国の“医療の距離感”が、肌で分かります。


比較軸③ 安全・災害・移動のしやすさ

安全は「国」だけでは測れません。住むエリア、移動手段、時間帯で体感が変わります。

治安は“住むエリア”で変わる

国単位の評判より、エリアの現実が大事です。

最低限の見方

  • 昼と夜で雰囲気が変わる場所は要注意
  • 家の周辺に人通りがあるか
  • 明るい道で帰れるか
  • スマホを出していても平気か(体感)

理屈より、歩いた感覚が強い判断材料になります。

車社会/徒歩社会の相性

ここは生活の満足度に直結します。

  • 車社会 :免許、保険、駐車、運転ストレス
  • 徒歩社会 :坂道、段差、暑さ寒さ、公共交通の混雑

夫婦で擦り合わせたい質問

  • 運転はどちらが担当? 交代できる?
  • 歩く距離が増えても楽しめる?
  • 夜の移動を避けたいなら、どのエリアが候補?

比較軸④ ビザ難易度(現実に住めるか)

ここを落とすと、国選びが“夢のまま”止まります。
好きな国でも条件が合わないと成功しません。

夫婦の働き方別に候補が変わる

働き方は仮置きでOK。先に置くほど、ムダ調べが減ります。

  • 現地就労 :職探し+就労要件が鍵
  • リモート :一定収入+保険+滞在条件が鍵(国により)
  • 無職/年金 :資産要件や長期滞在条件が鍵(国により)

夫婦のポイント

  • 主申請者を誰にするか
  • 配偶者の就労可否はどうか
  • 更新の手間を許容できるか

必要資金・保険・就労制限

国ごとに違っても、よく出る要素は似ています。

よくある要素

  • 資金証明(残高、収入、継続性)
  • 医療保険(補償範囲、免責、既往症)
  • 就労制限(働ける/働けない、職種制限)
  • 更新条件(滞在日数、所得、納税など)

この段階は「完璧に調べる」より、振るいにかけるのが目的。
厳しそうなら、早めに別候補へエネルギーを回すのが賢い進め方です。


比較軸⑤ 暮らし(言語・食・コミュニティ)

暮らしの質は数値化しにくい分、後から効いてきます。
要は「毎日、そこそこ気分よく過ごせるか」。

孤立を避けるヒント(習い事・日本人会等)

海外でつらくなる要因の一つが孤立です。

夫婦でも起こります。

孤立を避ける導線

  • 習い事:語学、料理、ダンス、スポーツ
  • コミュニティ:地域イベント、ボランティア
  • 仕事:現地の小さな関わり(カフェ、コワーキングなど)

日本人コミュニティは頼りになる一方、依存しすぎると視野が狭くなることもあります。
理想は「困ったときに助けてもらえる距離感」です。

生活の楽しみ(市場・カフェ・自然)

暮らしは、楽しみがないと続きません。
夫婦で「好きな日常」を1つずつ挙げてみてください。

  • 朝の散歩が気持ちいい海沿い
  • 週末に通える市場
  • 安心して入れるカフェ
  • 緑の多い公園
  • 趣味が続けられる環境(釣り、登山、ゴルフなど)

引っ越した先で行きつけのパン屋ができる。
この“小さな安心”が、移住の満足度を底上げします。


候補を「3国→1都市→1エリア」に落とす方法

ここからが実務。

候補を増やすほど迷うので、いったん減らす力を使います。

国→都市→エリアの順で調べる

順番を守るだけで、ムダが減ります。

  1. :ビザと大枠(安全、気候、距離、言語)
  2. 都市 :医療、雇用、交通、家賃レンジ
  3. エリア :治安、生活動線、スーパーや病院の近さ

ポイント

  • 国の評判より「この都市のこのエリア」を見に行く
  • “住みたい”より“住める”を優先する
    憧れは、住める土台ができてからでも育ちます。

最終比較シート(点数化)例

点数化は、意見をぶつけるためではなく、差を見える化するための道具です。

おすすめのやり方

  • 夫婦それぞれ、各国を1〜5点で採点
  • 合計点より、「差が大きい項目」だけ話す
  • 上位3国を決めたら、次は“都市”へ進む

採点項目(例)

  • 医療(通いやすさ、言語)
  • 安全(夜の移動含む)
  • 予算(家賃を中心に)
  • 気候(体調に影響するか)
  • 日本との距離(一時帰国のしやすさ)
  • ビザ難易度(続けやすさ)
  • 暮らし(食・コミュニティ)

プチ移住(下見滞在)で必ず見るチェックリスト

最後は“肌感”です。

住む前提の下見は、観光と違って見るべきポイントが明確になります。

スーパー/病院/交通/治安(夜)/住居内見

下見で見る場所(必須セット)

  • スーパー:食材の質、価格、買いやすさ
  • 病院:場所、予約の仕組み、言語対応
  • 交通:歩道、段差、公共交通のわかりやすさ
  • 治安(夜):帰宅ルートの暗さ、人通り
  • 住居内見:騒音、湿気、セキュリティ、周辺環境

やると強い行動

  • “普通の日”を1日つくる(買い物→自炊→散歩→帰宅)
  • 夕方〜夜に歩く(安全と疲労感の確認)
  • 地元のカフェで30分過ごす(居心地を確かめる)

帰国後に夫婦で振り返る質問10

下見の価値は、帰国後の振り返りで完成します。
熱が冷めないうちに、次の10問に答えましょう。

  1. 想像より良かった点は?(3つ)
  2. 想像よりきつかった点は?(3つ)
  3. 住むなら、どのエリアが最有力?理由は?
  4. 夜の移動は安心できた?不安が残るなら何が原因?
  5. 医療の距離感はどうだった?(予約・言語・費用感)
  6. 食は合いそう?自炊は続けられそう?
  7. 暑さ寒さ、湿度は体に合う?(疲れ方はどうだった?)
  8. 夫婦それぞれ「ここなら続けられそう」と感じた瞬間は?
  9. 逆に「ここは無理かも」と感じた瞬間は?
  10. 次に調べるべき“宿題”は何?(ビザ/家賃/医療/コミュニティなど)

結論:移住先は「夫婦の優先順位TOP5」を先に決め、同じ比較軸で点検してから“3国→1都市→1エリア”へ絞ると、後悔しにくくなります。

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