この記事の結論:ビザ(滞在資格)は「要件→証拠→手順」で分解し、夫婦の働き方に合う“現実的なルート”を2〜3本に絞る。すると、国選びも準備も一気に進みます。
※重要:ビザ制度は国・時期・個別事情で変わります。この記事は「調べ方・整理の枠組み」と「詰まりやすい点」の解説です。最終判断は必ず各国の公式情報(移民局・大使館など)や専門家へ。
用語(表記の統一)
- 滞在資格(ビザ) :その国に滞在するための資格(呼び方は国により異なる)
- 主申請者 :ビザを中心に申請する人(配偶者は「帯同」になることが多い)
- 帯同 :主申請者に同行して滞在すること
- 資金証明 :残高・収入・資産など、要件を満たす根拠書類
- 更新 :期限到来後に滞在を延長する手続き
ビザの考え方は「要件→証拠→手順」

ビザで迷う理由はシンプル。
情報が断片的だからです。
そこで必ず、次の3つに分解します。霧が晴れます。
要件=条件、証拠=書類、手順=申請の流れ
まずは“ある程度アバウト”でOK。
- 要件(条件) :何を満たせばいい?(年齢、収入、資産、学歴、職、保険、滞在目的など)
- 証拠(書類) :満たしているとどう証明する?(残高証明、雇用契約、納税、保険証券、学籍、婚姻証明など)
- 手順(流れ) :いつ、どこで、何を出す?(申請窓口、予約、審査期間、入国後手続き、更新)
この3点セットが揃うと、「できる/できない」の判断が速くなります。
逆に、要件だけ見て「行けそう!」は危険。証拠が揃わないケースがあるためです。
夫婦で最初に決める2つ(ここだけ先に)
検討を前に進めるなら、まずはこの2点を“仮決め”します。
- 主申請者は誰にする? (収入・職・語学・手続き耐性で一旦決める)
- 帯同者は働く予定がある? (就労可否は国・ビザ種別で差が出やすい)
国ごとに違うので最終確認は公式へ
ブログやSNSは生活の解像度が高い一方、制度の細部は更新が追いつかないこともあります。
迷ったら、確認順はこれで十分です。
- 各国の 公式サイト (移民局/大使館相当)
- 必要に応じて 専門家 (行政書士・移民弁護士など、対象国に強い人)
- 体験談は「生活のリアル」用に使う(制度の根拠にはしない)
To-Do(15分)
候補国があるなら、公式サイトで次の3点だけ拾いましょう。
- どんなビザ区分があるか(一覧)
- 主要区分の要件(ざっくり)
- 審査や更新の“キーワード”(収入、保険、滞在日数など)
代表ルート① 就労系(現地雇用/駐在/転職)

就労系は王道。ただし、仕事が決まるまでが難所です。
夫婦なら「どちらが主申請者になるか」が勝負どころ。
夫婦どちらが主申請者になるか
理想より、現実ベースで決めるのがコツ。判断基準はこのあたりです。
- 現地で通用する職種・経験がある
- 英語(または現地語)での面接・交渉に耐えられる
- 手続き・書類を進める粘りがある
- 収入が要件に関わる場合、条件を満たしやすい
よくある設計(例)
- 夫が主申請者、妻が帯同(または逆)
- 片方は就労、もう片方はリモート(家計の安定化)
- 最初は帯同→条件が整い次第、働く(国・制度次第)
大切なのは「どちらが正しいか」ではなく、2人で決めたことです。
帯同配偶者の就労可否
ここを軽く見ると、家計も気持ちも崩れます。先に確認しましょう。
チェックポイント
- 帯同のまま働けるのか(就労許可が必要か)
- 働ける場合、職種・時間などの制限があるか
- 働けない場合、代替案(リモート/短期学習/ボランティア等)はあるか
シーンの落とし穴
「最初は帯同で様子見」と決めたのに、現地で暇になってストレスが溜まる。
こうした摩擦は、事前に「役割」と「過ごし方」を決めておくと減らせます。
代表ルート② リモート/デジタルノマド系(該当国のみ)

近年増えた選択肢ですが、 すべての国にあるわけではありません 。
“制度がある国だけ”のルートとして扱い、候補に当たれば一気に現実味が出ます。
収入証明・保険・滞在期間の特徴
リモート系で出やすい要素は、だいたい次の3つ。
- 収入証明 :一定額以上の収入、継続性(雇用契約・請求書・入金履歴など)
- 医療保険 :補償額、期間、既往症の扱い
- 滞在期間 :1年単位など、期限と更新条件がセットになりやすい
夫婦の場合、「収入要件を誰が満たすか」で設計が変わります。
組みやすいのは、片方が要件を満たし、もう片方が帯同する形です。
更新・家族帯同の確認ポイント
見落としがちなのは、“可能か”ではなく“続けられるか”。
更新で確認すること
- 更新の条件(収入継続、滞在日数、保険維持など)
- 税や手続きの負担感(国・状況で変動)
- 次のステップ(長期滞在や永住権PRへ繋がるか)
国選びが先か、ビザが先か。正解は「同時に少しずつ」です。
代表ルート③ 投資・起業系(資金要件が大きい)

投資・起業系は、資金があるほど取りやすい…とは限りません。
資金に加えて、“事業としての筋”を見られる場合もあります。
必要資金だけでなく“事業計画”が要る場合
頻出の要求は、だいたい次のようなものです。
- 投資額(最低額が設定されているケース)
- 事業計画(収益性、雇用、社会的意義など)
- 運営実態(登記、口座、契約、請求・納税など)
夫婦で取り組むなら、役割分担が鍵。
例:片方が対外的な窓口、もう片方が運営・数字管理。こうすると進みやすいです。
専門家に頼む/自力の判断基準
ここは無理に抱えない方が安全。目安を置きます。
自力が向く(比較的)
- 必要書類が少なく、公式情報が整理されている
- 英語(または現地語)で公的文書を読める
- 審査で面談・事業計画の比重が低い
専門家が向く
- 事業計画や面談がある
- 出資・契約・法務が絡む
- 失敗コストが大きい(時間・資金・信用)
“丸投げ”ではなく、論点整理の壁打ちとして使うと費用対効果が上がります。
代表ルート④ 学生+帯同(語学・大学・専門)

学生ルートは、「まず入って現地に慣れる」ための足場として使われることがあります。
30〜60代でも検討されるケースはありますが、家計設計が重要です。
学費+生活費の見積もり
苦しくなるのは、支出が積み上がるところ。まずは“全体”で把握します。
- 学費(入学金、教材費含む)
- 生活費(家賃が中心)
- 保険(条件に入ることが多い)
- 渡航・更新・手続き費用
To-Do(30分)
- 学費(年間)+生活費(年間)の“合計”を一度出す
- その合計が、家計と気持ちに無理がないか夫婦で確認
年齢帯での現実的な使い方(短期の足場づくり)
学生ルートの現実的な使い方は、例えばこんな形です。
- 語学を整えつつ、生活環境の相性を確かめる
- 現地ネットワークを作り、次のルート(就労等)に繋げる
- 夫婦どちらかが学び、もう片方が帯同で生活を整える
ただし、制度上「学生=自由に働ける」とは限りません。
就労可否や時間制限は必ず確認しましょう。
代表ルート⑤ 退職者・長期滞在(国により条件差)

退職者・長期滞在系は、30〜60代夫婦にとって現実的な候補になりやすい一方、国ごとの差が大きい領域です。
年齢要件・資産要件・医療保険
頻出なのは、次の3つ。
- 年齢(一定年齢以上が対象、または優遇される場合)
- 資産・収入(年金や預金などの基準がある場合)
- 医療保険(補償条件が明確に指定される場合)
夫婦の場合、要件を「世帯」で見るのか「個人」で見るのかが変わることがあります。
ここは公式の文言を丁寧に読みたいところです。
永住権(PR)との違い
混同されやすいですが、別物です。
- 長期滞在 :期限があり、更新が必要なことが多い
- 永住権(PR) :長期的に住める権利(ただし取得要件が重い場合も)
最初から永住を狙うより、まず長期滞在で相性を確かめる。
この順番だと、夫婦の納得感が残ります。
申請で詰まりやすい“実務”チェックリスト

最後に、ビザで本当に詰まりやすいところをまとめます。
ここを先回りすると、準備のストレスが激減します。
資金証明・残高・送金履歴
資金証明は「ある」だけでなく、どう見せるかが問われることがあります。
準備のコツ
- 残高証明は“いつ時点”が必要か確認(発行日からの有効期限も)
- まとまった入金がある場合、説明できる根拠を残す
- 家計の全体像を1枚にまとめる(収入源・資産・支出見込み)
夫婦なら「共有資産」「個人資産」をどう扱うかもポイント。
名義の問題で手戻りすることがあります。
無犯罪証明・健康診断・翻訳/アポスティーユ等
地味ですが、時間がかかりやすいのがこのセットです。
- 無犯罪証明:取得に日数がかかる/期限がある
- 健康診断:指定フォーマットの有無/再検査の可能性
- 翻訳:誰の翻訳が認められるか(認証が必要な国も)
- 公証・アポスティーユ等:国によって要件が違う
To-Do(最短で効く)
- 必要書類を「取得に時間がかかる順」に並べる
- 期限があるものは、カレンダーに逆算で入れる(共有)
期限管理(いつ何を出すか)
書類が揃っていても、期限を落とすとやり直し。これは痛い。
夫婦で回すなら、仕組み化が効きます。
おすすめ運用
- 共有カレンダー:申請、更新、保険、重要期限
- 共有フォルダ:書類のPDF、スキャン、提出版(最終)
- 担当を決める
- 夫(または妻)=期限管理
- もう一方=書類チェック・スキャン係
分担があると、手戻りが減り、精神的にもかなり楽になります。
この記事の結論:ビザ(滞在資格)は「要件→証拠→手順」で分解し、夫婦の働き方に合う“現実的なルート”を2〜3本に絞る。すると、国選びも準備も一気に進みます。

